アメリカ一極世界が真っ平のわけ   文科系

アメリカは今、中ロを滅ぼす方向で世界の軍事・経済二極ブロック化に取りかかり、邁進している。が、世界のアメリカ一極化とは何を指すのか、日本人も今よくよく考える必要があると思う。
 
 アメリカの中国観というときに近年真っ先に「中国に対するアメリカ自身について」重大な反省、言及がなされたのは、アメリカが斜陽国になり始めたその原因に関わるものである。二つの「根本的『反省』」があった。一つは、アメリカのラストベルト地帯の白人労働者の失業問題に関わって、フリードマンらの反省も含めて、このこと。
アメリカの工業労働者たちがこんなに早く中国に職を奪われるなんて、予想外の驚きであった」
 そして今ひとつは、「中国に職を奪われた」というこの問題にも関わって、こういう重大「反省」もある。全米主要経営者団体であるビジネスラウンドテーブルが2019年8月にこんな重大な発表をしたのだ。
アメリカ経済は、株主利益最大化方針が行き過ぎて、企業に関連するステークホルダーの利益をないがしろにしすぎていた」
 
 さて、今のアメリカをちょっと知っている人ならば以上二つの問題がアメリカでどれだけ大きなことであったかすぐに分かるはずだ。予想外のトランプ旋風が、ラストベルトの白人労働者たちによってもたらされ、彼らこそウオール街の大金融とその政治的代弁者としての民主党とを忌み嫌って来たという、そういう全米政治構図が存在するのである。
 
 さて、だから言いたい。大金融が労働者を切り捨て、路頭に迷わせ、今の大々的格差社会を作ったことをどう反省し、正そうとしているのか。「ステークホルダーの利益も考えていく」とは、口だけではない本気の証拠がどこにあるのか、と。これらの証拠が明確でないままなら、アメリカによる世界一極支配とは、「ロボットを使って、人間労働者を切り捨てていく世の中、世界」をさえ予想させるのである。そんな世界に比べれば、「権威主義であろうが何だろうが、人の職が存在し、広がっていく世界」の方がはるかに人の道に合ってどれだけ良いものか、と。
 
 アメリカ金融が世界に何をしてきたかも、今改めて考えてみるが良い。国連の猛反対を押し切って有志国で敢行したイラク戦争は、「石油支払い=世界通貨ドル」体制を死守するためだった。また、世界各国通貨への「売り浴びせ通貨戦争」を大小何百回起こしてきたことだろう。リーマンショックも含めて世界からこれだけ金を奪えば、21世紀世界の総需要、景気などが上向くはずなどないではないか。中国の一帯一路や、アフリカ援助が意外に進んでいくのも、こういうアメリカの悪行の穴埋めのようなものになっていたはずだ。韓国の対中接近も、タイバーツに始まったアジア通貨危機、ウオン暴落への恨みが絡んでいるに違いないのである。
 
 リーマンショックの後始末を観て来ても、アメリカに「米金融世界支配・株主利益最大化方針資本主義」への反省があるようには到底見えないのである。