五輪中止で、一挙に日本売り?  文科系

安倍が2013年に、日銀(白川方明総裁)を文字通り屈服させて、昔から国家財政の世界では禁じ手であり続けてきたはずの財政ファイナンスを敢行したその時から、日本売りを恐れ、ここでも再三問題視してきた。白川総裁が最後に「どちらが正しかったかは、歴史が証明する」とまで言い切った、強引な屈服であった。その証明の結果も今既にもう、明白に一つ出ている。この財政ファイナンスによって安倍がすぐに達成できると判断していた「インフレターゲット2%目標」が5年経っても実現できなくて、安倍自身がその目標を下ろしてしまったのだ。自身の敗北を認めた形なのである。その上で、以下の結果だけは残ってしまったからこそ、事は重大なのである。

 この財政ファイナンスの結果が、今の官製バブルである。日本の多くの会社の筆頭株主が実質日本政府だというような、幻想の株価・バブルだ。そして、バブルとは空売り大もうけを狙う世界金融には絶好の戦場なのであって、これが五輪後に起こるという声がしかるべき経済界、学者にも少なくはなかったはずだ。そんなここに来て、「コロナウイルスから、五輪中止」? としたら、一挙に日本売りが始まるのではないか。ちなみに、「米株が儲かる」との宣伝もどんどん増えているようだ。アメリカは今、GAFAバブルや世界の原油販売資金などの他に、世界から勝負資金を集めようと腐心しているのであろう。

 中南米諸国などで通貨危機、通貨暴落からそうなっていったように、円安から日本通貨のドル化?  まさかとは恐れつつ思うものの、国連経済慣行を暴力的に無視した露骨な保護主義とか、戦前の日独と見まがうような戦争(行為)の連発とか、今のアメリカは何でもありになっている。こんなアメリカの日本売りが引き起こすだろう世界の地獄絵図はまっぴらなのだが。ちなみに、1929年の世界大恐慌第二次世界大戦という人類地獄を引き起こしたのだし、リーマンショックが「100年に一度の経済危機」と呼ばれたのは原理的にこの恐慌、その諸結果と対比できるはずだという痛切な世界史の教訓ではなかったか。