「酷薄帝国アメリカ」露呈  文科系

アメリカのコロナ患者数が中国を抜いた」とここに書いたのが、27日。それからわずか3日でアメリカの患者数は中国の優に1・5倍以上、13万を超えた。コロナ症状で陽性・治療というだけで、この国に多い無保険患者は100万円とか300万円とかの高額医療費を請求されていると今や米マスコミも改めて報道している。今後どれだけの人々が、治療を諦めて死んでいくのだろう。この国の政治の酷薄さがあからさまに世界に知られたというのは、大統領選挙を控えて今後のアメリカ国民にとっては大変良いことだったかも知れぬ。

 それにしても、これは新自由主義経済・政治の典型国の末路そのものなのだ。2日前のここに、元経済政策担当財務次官補ポール・クレイグ・ロバーツが書いたアメリカ国民の今の窮状報告文章を転載したが、そこにこんな下りもあった。
連邦準備銀行の調査によれば、個人資産を売らなければ現金400ドルを作れない40%のアメリカ人のために何をすべきだろう?この医療危機の間、保険のない多数の人々を、どうすれば面倒が見られるだろう? 病院や医療事業は、一体どこで金を得られるだろう? 】

「経済の自由競争こそ経済発展の原動力、そのために国家による規制などはどんどん廃して「小さな政府」にすべし。国家の仕事は防衛と外交だけで良い」と、そんな方針でやって来た国だ。結果、不安定労働者ばかりになってろくに国民が自立できず、GAFAなどを除く米資本も中国などで営業する始末。そのことを、ノーベル賞経済学者らでさえ、こう反省しつつ嘆いているのである。 
アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた』
 と反省しているのは、ポール・クルーグマン。また、米政治週刊誌「ニューズウイーク日本語版」には、こんな一節もあった。
『最大の負け組はやはり、アメリカの労働者だ。経済学者はかって、好況下では労働者は自分たちの賃金を引き上げる力を持つと考えていた。だが最近の見方はちょっと違う。多国籍企業が全世界を自らの縄張りに収めて四半世紀がたち、グローバル化した資本は国内に縛られたままの労働者よりも優位に立った』

 かくして、GAFAの株式時価総額はドイツGDPを超える一方で、アメリカの労働者は極貧に落ちぶれ果てたと、普通に語られることになった。それらのうちの中西部白人労働者達が、不動産王、トランプ予想外の当選の原動力になったという歴史の皮肉!

 ともあれ、アメリカのコロナ死者、肺炎死者は一体どれだけになるのだろうか。恐ろしいことである。「苛政は、虎よりも猛々し」