日本政府の嘘、偽りの数々  文科系

10日のエントリーで、岩波の総合雑誌「世界2月号」に神里達博千葉大学大学院国際学術研究院教授(科学史科学技術社会論)の論文『パンデミックが照らし出す「科学」と「政治」』のさわり部分を紹介した。そこに、各国のコロナ死者数の算定「難」に関わって、世界保健機構(WHO)が超過死亡数(例年の死者数よりも、2021年から2022年にかけて増えている年平均死者数)という概念を導入して各国の数字を発表とあったが、その日本の数字について奇怪な事実がさりげなく触れられてあった。
 
『たとえば、WHOのデータによれば、日本では死者が平年より少なくなる「過少死亡」という現象が起きたとされる。・・・・(英国医学誌掲載のワシントン大学チーム推定値)の研究では逆に、11万人の超過死亡が生じたとされている。全く逆の結論とも言えるもので、なんとも不思議な話だ』
 
 なぜこんな現象が起こったか是非知りたいものだが、日本政府には過去「嘘、偽り、国家情報隠し」などなどが多過ぎると長く観測できたもの。いろんな本などを読んでくると、著者らがそうと示して来たことがとても多いので、まずこれをあげてみよう。
 
・まず、今問題の統一教会自民党とのランデブー深化の発端が、密かな秘密主義(国民に話題にもならなかった)から起こっている。2015年現安倍派会長代理の下村博文文科相統一教会の改名を密かに認めていたからこそ起こったことと言えるのだから。
 
・次いで、今はじめて「本気なように」動き始めた少子化対策だが、過去政府がこんな情報操作を熱心にやっていたと、ある本に紹介されている。
『私は1996年に出版した「結婚の社会学」(丸善ライブラリー)の中で「収入の低い男性は結婚相手として選ばれにくい」という現実を指摘している。・・・・・
 当時、これほど評判の悪かった指摘はなかった・・・1990年代後半のマスメディアや政府は、この事実への言及を避けていた。
 政府関係の研究会で、私がこの指摘をしたところ、政府のある高官から、「私の立場で、山田君が言ったことを言ったら、首が飛んでしまう」と言われたことがある。
 当時、大手の新聞では、私の発言の該当部分は記事にならなかった。
 ある地方公共団体に依頼され執筆したエッセーに関しては、担当課長が、削除を依頼しにわざわざ大学までやって来て、頭を下げられたこともある。
  その理由は、「収入の低い男性は結婚相手として選ばれにくい」という指摘は事実であっても差別的発言だから(たとえ報告書であっても)公で発表することはできない、それだけではなく、それを前提とした政策をとることはできない、というものである』(光文社新書山田昌弘著「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」の48~49ページ)』
 
・失業数に関して政府が発表している「『完全』失業率」とか、税金、税率の範疇、範囲とかも僕には疑問だらけの思いが募って来た。前者の分子の中からは「家事見習い中の女性」とか「主婦の一部」とか「半ば諦めている再就職希望者」らが巧みに除かれるようになっているからこその「完全」なのである。税金の範疇に、一例として高速道路収入など税とは言えぬ臨時収入の恒常化されたものの数々が含まれているのかどうかなどの疑問もずっと抱えてきた。
 
・最後に、こんなことがまかり通って慣れっこになってきたからこそ、安倍晋三首相時代に「国家基幹統計の改ざん」もヒラメ役人ぐるみで半ば堂々と行われてきたのではなかったか。建設受注動態統計とか毎月勤労統計など、国家基幹統計の半数近い23に誤りがあったと報告されている。これでは、GDP(世界順位などを含む)も景気指標なども果たしてどれだけ信用できるのかという問題になってくる。
 この点に関して、当時の安倍首相が、モリカケサクラ同様にとんちんかんな国会答弁を返していたのも新鮮に覚えている。
長妻昭議員「国家基幹統計の改ざんって、場合によっては国家の危機を招くことさえあるのを首相、あなたはご承知か」
安倍晋三首相「私が国家ですよ!(その私が国家危機など招くわけがないじゃないですかと言いたかったのだろう?? 例によってあさっての方向向いた愚かな答弁である)
 
 かくて安倍首相時代の日本政府は、世界的な報道の自由度、国家の民主主義度などなどをどんどん下げてきた。これでは、国民は政治に対する正しい判断さえできなくされて来たということになる。
 
「民は、知らしむべからず、寄らしむべし」って、日本封建時代の誰の言葉だったっけ?