改めて「太平洋戦争の大嘘」という大嘘(1)~(3)  文科系

 何度も何度も近年の日本の一部だけで叫んでいるねじ曲がった太平洋戦争本の広告がここに載るので、こちらも世界史論として定着している太平洋戦争論を今一度掲げ直したい。三つの反論を一つにまとめた。

【 真珠湾と、アメリカ参戦  文科系 2018年04月01日

 拙稿の「太平洋戦争史」が気になる集団がいるしく、藤井厳喜さんとやらの「日本人が知らない、太平洋戦争の大嘘」と名付けられた本の広告がこのブログに再三掲載されてくる。その概要が宣伝文句として書いてあって、以下その事を一つ一つ批判してみたい。嘘も言いようという典型内容だと思う。これでは世界が習っている日本近代史が全て嘘になってしまう。ただし、こんな「太平洋戦争史」は、今大問題になっている佐川なんとかさんと同じで、安倍の日本復古調時代に咲いた、今の日本の一部にも通じないあだ花である。
 以下、初めに藤井さんの言い分をひとつずつ書いて、僕の反論を述べる。

・『日本が真珠湾を奇襲攻撃したあの日、アメリカ大統領とイギリス首相は驚きや怒りなどではなく、電話で歓喜に狂ったのは何故か?』
 イギリス首相が喜んだのは当たり前。モンロー主義を取って来て当時の西欧俗世界から距離を置いていたやのアメリカが、ついに連合軍側について、全体主義国家と戦ってくれることになったのだから。時あたかも、大陸ロシア以外のヨーロッパはドイツに征服されて、次はイギリス上陸・征服戦が始まるかという時だったのだし。
 他方アメリカは、イギリスがフランスのようにドイツに征服されるかも知れぬと、怖れ始めていた。ヒトラー全体主義世界実現をどうしても許せないと、モンロー主義をかなぐり捨てて参戦する機会を待ち望むようになっていたのである。日本の中国・インドシナ南下策、真珠湾が、その絶好の国民向け口実与えたということだろう。

・『「絶対に戦争はしない」と誓って大統領に当選したルーズベルト…それなのに、なぜ戦争は始まったのか?国民を騙して戦争に引きずり込んだ、彼の裏の顔とは?』
 ヨーロッパ植民地主義国の昔ながらの列強戦争、アメリカ大陸干渉をアメリカが嫌っていたからこそ、モンロー主義を取っていたのである。が、ドイツ、日本という民主主義を否定する全体主義独裁国家が勝てば、次は民主主義国家としてのアメリカの存立も危うくなる。「モンロー主義を捨てて参戦」をどうしても国民に認めて貰わねばならなかったという情勢だった。
 そもそも、この戦争を始めたのは、ドイツと日本である。ドイツのポーランド電撃進入と、日本の中国・インドシナ南下作戦と真珠湾とが並んで起これば、アメリカが参戦しないわけがないのだ。日本の方が逆に、アメリカのモンロー主義を信じすぎたのかも知れない。ヒトラーと同じで、軍部独裁国家は政治理念、思想にはてんで弱かったということだろう。日本の中国・インドシナ南下作戦などに対してアメリカが「石油禁輸措置」を取ったのは、当時の日本政府にとって本当に驚きであった。自分の全体主義軍事独裁エスカレートするばかりだったのだから、アメリカ流民主主義死守の姿勢を信じられなかったのであろう。日本軍部はそもそも、アメリカの対英独立戦争から始まる民主主義思想をアメリカがどれだけ信奉していたかも信じていなかったのだろう。】