BS朝日の日韓特集  文科系

 昨日、標記の番組があった。今の朝日は、というよりもテレビの報道とか特集とかいうものは、誤った主観的問題設定という固定観念から出発しているという意味でもう観る気がしないが、日韓問題の専門家であった元外務省審議官・田中均がゲストで出るというので、観た。あらかじめ、感想を一言で表しておけば、朝日や日本マスコミの日韓問題論調を田中が厳しく諫めていたということだろう。その諫め方は、大きく分けて二つ、こんな内容であった。
 
・ 今の日韓問題を考える原則は4つある。
① 徴用工を巡る韓国大法院の判決には、他国はもちろん、韓国政府でも異議など唱えることはできない。日韓いずれも、三権分立原則の国なのだから、政府が裁判権を左右するなどはできない
②③ 国としての韓国の請求権はなくなったが、個人請求権は今でも存在する。
④ 韓国の国内法と国際法の矛盾は、これを解消して欲しい。
 
・日本は今、韓国に対して小さなことをごちゃごちゃ言いすぎて、長期的根本的な利益、問題を忘れ、放棄しているのが嘆かわしい。それは、「朝鮮を中ロの影響圏にしてしまって良いのか」ということだ。このままでは、朝鮮が中ロに寄っていくという問題で、朝鮮はもちろん、中ロ米からも、日本は素通りされ、置き去りにされていく。それが嫌なら、韓国をもっと大事にしろ!
 

 対する朝日側の解説者らは相変わらず、徴用工問題、拉致問題を中心に据えようとしていた。これでは田中が朝日側をも諫めたということにしかならない。ちなみに、心なしか朝日の解説者らの大人しかったこと! 
 周辺の平和や日本の国際的利益にとっても重大な問題で、相手側と関係なく単に日本側の要求(それが大事でないということではない)を出しているだけ。これは子供のやり方、言いっぱなしの論理であり、国内政治、選挙だけを観ているようなやり方とも言える。ついては、日本にとっても大事な東アジアでの日本の平和や国益は、何も進められないことになる。こういう子どもの論理が今の日本の政治とマスコミとを動かしているというのが、まざまざと見えた放送であった。
 
 最後になるが、この長い放送の間に、日韓関係で今最も重大な問題「18年版韓国国防白書」において「近隣の第一の防衛協力国は、日本」から、「近隣の第一の防衛協力国は、中国」に換わってしまったことは、誰からも、何も言及がなかった。このことは、マスコミにとっても日本国民に知られたくないことなのか。だからこそ、子どものように自分の要求だけを叫んでいられる?