イラン、原油禁輸は「経済テロ」   文科系

トランプ政権になって間もなく、国際社会の合意「イラン核合意」から自分勝手に「うちは抜ける。イランに不信だから」と宣言したアメリカ。制裁と称してイラン産原油禁輸措置を去年春から執ってきた。ただし、影響が大きい日本など8カ国は執行猶予とされていたものを、この5月1日から猶予措置を撤廃すると発表したそうだ。安倍首相なども、アメリカにこの継続を懇願していたのだが・・・。

 これに対してイランが発した言葉が、標記のもの。報道によればこう表明したとのこと。
原油輸出という国家の当然の権利を剥奪する経済テロだ』

 本当にアメリカは自分を何様だと考えて、こんなことが出来るのか。イラン核合意は国連のイニシアで出来たもの。国連も無きに等しいとする行為であり、国連の制止を振り切って有志国で突入したイラク戦争や、コロンビア、ブラジルなど親米の南米諸国でさえ反対が多すぎていったんは幻に終えることができた「ベネズエラ軍事介入宣言」などとともに、勝手な「自国例外主義」が目に余る無法者である。世界の信用を無くしていることも承知の上で、こんな力ずくの暴力外交・通商をエスカレートさせるばかりなのだ。たちまち原油価格が近年珍しいほどの急高騰。物貿易がすっかり赤字のこの国の、赤字削減狙いも当然大きく関わっているのだろう。

 さて、こういう無法な自国例外主義の弱肉強食政治を世界に強行させていくと、その世界史的行く末、結末が怖い。「人間、その国とは、そういうもの」とする世界観、人間観がどんどん世界を覆っていくことになる。つまり、時代と人間観との悪循環していく非人間化、退廃化。こういう歴史の動きの末が、例えばヒトラースターリン毛沢東の凄まじい人間破壊の残虐政治、行為の数々ということではなかったか!

 アメリカという歴史の浅い、よってその教訓の蓄積も少な過ぎる国が、自覚もなく、こんな歴史の罠にどんどんはまり込んで行っているように思う。「人間疎外」の歴史進行・・・・。トランプ、ベンス、ボルトン、ポンペオなどの言動、物腰からその人と成りをうかがっていても、そんなことが感じられてならない。