安倍の「哲学」がおかしい   文科系

二日前16日の「太平洋戦争か15年戦争か」で示した安倍政権の歴史観点は、当然「太平洋戦争だけ」というもの。戦犯意識も極めて希薄だからこそ、大陸への侵略も「進出」等と歴史の教科書を改めさせることになるのだし、A級戦犯を合祀した靖国参拝問題でも国際的物議を醸し出す事になった。だからこそ、この戦争への反省らしきものさえ外向けの言葉にすぎず、内向けでは明らかにこう振る舞ってきたのである。
植民地主義なんて、西欧も同じことをしてきて、同罪だろうに・・・」
 これは、国際連盟という世界平和組織が20世紀初頭の世界史に初めて生まれたという、当時の世界史方向がなにも考慮に入ってない態度なのである。その国連から、満州事変を非難されて脱退せざるを得なかったことも顧みないからこそ、以降の無法行為は何も悪くないと語っているのだろう。ちなみに、現在国連制裁を重ねられてきた北朝鮮でも、さすがに国連を脱退するという国際無法者確信犯にはなれないでいる。
 こんな安倍政権は、今までの日本史教科書からすれば、大変な上からの教科書・教育改悪勢力ということになる。

 国民が立派な自律的主権者に育ちあうべきと期待される一般的教育行政でも、上から目線が酷い。そもそも、GDP当たり教育費比率が後進国並みの低さである。そのことによってもたらされているのが、貧困国並みに多人数を見させられている教員の少なさ! これでは、塾にも行けない低所得世帯は、貧富の世襲に陥るばかりであろう。日本の教育制度はこうして、貧富の世襲を拡大再生産するばかりのもの。それでよいとする思想には、民主主義の匂いが全く欠落していると愚考するものだ。

 先進国には珍しい死刑制度もそうだ。世界の先進OECD諸国では、死刑存続は日米だけ。サッカー・ワールドカップのロシア大会ベスト16国でも日本だけに死刑制度残存という時代錯誤であって、国家による主権者生命軽視とも本日の中日新聞に書いてあった。死刑制度を存続させている国は、「イスラム諸国」とか「社会主義諸国」とか、全体主義の臭いがする国家ばかりである。


 こんな政治でよしとしているのに、税金だけはとても多く獲っていく。道路税と言える高速道路料金は、世界一高い国だろう。住宅建設に関わる様々な税も、世界トップクラスのはずだ。つまり、他国比較で税が安いように見せかけて、目に見えない所でふんだくって来た国である。と、このことは案外国民が知らない事のようだ。
「民をして知らしむべからず、寄らしむべし」とは、封建時代の政治。安倍がしている事はこうして、国民に対しては秘密多すぎの自己都合ばかり。だがこの歪んだ国粋主義、反民主主義は、グローバリズムの今世界からの批判に有形無形に遭遇する事もまた必然。狭い狭い日本しか見させないようにしようというのは、続けられることではない。まるで趣味のような教科書改悪や憲法改悪は、そういう全体主義独裁政権の恣意的極まる顕れと言いたい。

 こんな恣意的政治をやっているからこそ、日本国民1人当たりGDPが、世界3位から30位に落ちてしまったのである。僅かこの20年の内に。これほどに酷い国民生活悪化こそ、偽の「愛国」政治家の証明になるだろう。